歯科医院が初めてのお子さまや、過去の経験から治療に不安があるお子さまには、痛みや腫れなどの強い症状がなく、緊急性が低い場合、無理に治療から始めることはありません。
まずは診療室に入り、診療台に座る、器具を見る、お口を開けてみるなど、歯科医院の環境に慣れるところから始めます。その日にできる範囲を確認しながら、少しずつ診療を進めます。緊急性が高い場合は、お口の状態と必要な処置について保護者の方にご説明したうえで対応を相談します。
乳歯には、食べる、話す、顎の成長を支える、永久歯が生える場所を保つといった役割があります。「いずれ抜ける歯だから」とむし歯を放置すると、痛みで食事がしにくくなったり、むし歯が深くなって治療の負担が大きくなったりすることがあります。乳歯の根の周囲に炎症が広がると、その下で育つ永久歯に影響する場合もあります。
見た目だけでは、むし歯の深さや治療が必要かどうかを判断できないことがあります。黒い点や白い濁り、歯と歯の間の変化に気づいたときは、痛みが出る前に確認しましょう。
少し意外に思われるかもしれませんが、むし歯予防は「歯ブラシで汚れを落とすこと」だけでは完成しません。
奥歯の深い溝や歯と歯の間など、歯ブラシだけでは十分に清掃しにくい場所があります。そのため、歯みがきでは汚れを落とすことに加えて、フッ化物配合歯磨剤を使い、歯の表面にフッ化物を届けること、また食生活の見直しが重要です。さらに、むし歯になりやすい奥歯には、溝をあらかじめ封鎖するシーラントが有効な場合があります。
子どものむし歯予防では、次の方法を組み合わせることが大切です。
- 年齢に合った量と濃度のフッ化物配合歯磨剤を使う(歯科医院で塗布する高い濃度との使い分けも大事です)
- 就寝前を含めて1日2回歯を磨く
- 保護者が仕上げみがきを行い、磨きにくい場所を確認する
- 甘いお菓子や飲み物を摂る回数と時間を決める
- むし歯リスクに応じて、歯科医院でフッ化物塗布を受ける
- 奥歯の溝の形や生え方に応じて、シーラントを検討する
歯みがきは、歯垢を取り除き、歯肉の健康を保つためにも欠かせません。ただし、「毎日磨いているから大丈夫」と考えるのではなく、お子さまの年齢、歯の生え方、食生活、これまでのむし歯の有無に合わせて予防方法を組み合わせることが重要です。
甘いものを一切禁止するのではなく、だらだら食べたり飲んだりする回数を減らし、家庭で続けられる方法を考えていきます。
生えたばかりの永久歯は、口の中に出た後もエナメル質が成熟していく途中にあります。そのため、生えてから数年間は、成熟した永久歯よりもむし歯に注意が必要な時期です。
特に6歳頃に乳歯のさらに奥から生えてくる第一大臼歯(6歳臼歯)は、生え始めに気づきにくい歯です。完全に生えきるまでは噛む面がほかの歯より低いため、通常の歯みがきでは歯ブラシが届きにくく、深い溝にも汚れが残りやすくなります。
当院では、6歳臼歯の生え方や溝の形、これまでのむし歯の有無などを確認し、年齢に合ったフッ化物配合歯磨剤と磨き方をご案内します。さらに、必要に応じてフッ化物塗布やシーラントを行い、生えたばかりの永久歯を守ります。シーラントはすべての歯に一律に行うものではなく、歯の生え方や溝の形、むし歯リスクを確認して判断します。